ゴーン・“チャイニーズ”ガール 1
ビクトルの前妻シュエについては、
本当は「シュエとは…」みたいなところからちゃんと順序立ててじっくりこのカテゴリーを作り上げていきたかったのだけど、そういうこと、待ってくれないのが彼女だ。
まあね、わかっちゃいたよ。
いつまでもちんたらしてこのカテゴリーを立ち上げなかった私が悪いんだよ。
記念すべき「前妻のこと」カテゴリーの第一弾は、
イントロダクションも何もかもすっとばして、先週末の出来事を早速書きたいと思う。
後ほど改めて、別カテゴリーにて、スペインの子連れ離婚事情について、詳しく書きたいと思っているが、とりあえず、我が家の事情を簡単に説明すると、ウチの子供ら(アーロンとエクトル)は、平日(日曜の夜~金曜日の朝)までは、我が家(ビクトル家)で過ごす。
金曜日、学校が終わると、前妻シュエ、もしくはその夫マックスが学校へ子供らを迎えに来て、そのまま彼らの家に行き、週末はシュエの家、もしくはマックスの実家で過ごす。
日曜日の夜に、シュエとマックスは子供らを我が家まで送ってきて、ビクトルと交代。
…というシステムになっている。
日曜の夜は、通常ならば、シュエとマックスが、マックスの車で子供たちを連れてくる。
だが、たまにそうじゃない時もある。
先週末の夜は、まさしく“たまにそうじゃない時”だった。
彼らはタクシーで帰って来た。
ところで、趣味の悪い話なんだけど、毎週日曜の夜、私はいつも子供らが帰って来る時間帯になると、寝室の窓からこっそり、彼らが帰って来るのを見ているのが習慣になっている。
日曜日は、日が落ち始めるといつも、緊張してソワソワしてくる。
シュエがもうすぐ我が家まで来ると思うと、落ち着かなくなって、胃が痛くなることもしばしばだ。
そんな緊張感から唯一解放されるのが、“彼らが来るのを窓からこっそり見る”ことなのだ。
先週日曜日の夜も、寝室の窓からこっそりと外の通りを眺めて、子供らが帰って来るのを待っていた。
いつもなら、マックスの黒い車がスイーッとやって来るのだけど、この日は待てども待てども、黒い車は我が家の前に停まらなかった。
そうこうしているうちに、マンション下のゲートのインターフォンが鳴った。
「そうか。今日はマックスの車じゃないんだ…。」と思った。
いつものように、ビクトルがインターフォンに対応し、下のゲートを開けて、子供らに上がって来るよう伝えていた。
伝え終るのを見計らって、私は「今日はマックスの車で帰って来なかったみたいよー」とビクトルに伝えた。
子供らが上がって来て、ビクトルが子供らを迎え入れる。
私も何事もなかったように笑顔で玄関に向かい、子供らに「おかえりなさーい」と言う。
子供らは笑顔だった。
さて、どうして今日はマックスの車で帰って来なかったのか、どうやって子供らに聞き出そうか。
子供らの服を着替えさせている間、私は考えていた。
ビクトルは、上の子アーロンと宿題のことや、今週控えているテストのことなんかを話していた。
私は下の子エクトルをパジャマに着替えさせ、彼の手や足にクリームを塗っていた。
(この季節は乾燥が激しく、エクトルはいつも尋常じゃないほど肌が荒れる。)
つたないスペイン語で、いかにもスペイン語の練習をしてるように見せかけて、エクトルに聞いた。
「ところで今日は、マックスのママの家から帰って来たの?」
私の間違ったスペイン語を正しながら、エクトルが答えた。
「違うよ。僕のママの家から帰って来たの。」と。
「違う」という言葉をもらえば、もうこっちのもんだ。
「え?そうなの?」と驚いたふりをして、どんどんエクトルを喋らせることができる。
私→「じゃあ、今日はマックスの車で帰って来たの?」
エクトル→「ううん。タクシーで帰って来た。」
私→「あらま!なんで?」
エクトル→「まーたママとマックスが喧嘩したからさー。」
エクトルがはにかみながら、両手の指をバッテンに交差して喧嘩のゼスチャーをする。
内心は「やっぱりな」と思いながら、「あらまー!またやっちゃったか!」と、私も笑って答える。
私→「じゃあ、今日は中国語のレッスンに行かなかったの?」
エクトル→「行かなかった。」
(※子供らは、通常ならば毎週末をマックスの実家で過ごし、土日は中国人が開いている中国語教室に通っている。)
ちょうどこの時、私たちの会話がビクトルの耳に入ったようで、「エクトル!なんだって?今日は中国語のレッスンに行ってないのか?」と、ビクトルが私たちの会話に入って来た。
エクトルは、今私に答えていたことを今度はビクトルに説明し始めた。
その隙に、私は今度はアーロンに「じゃあ、今日だけじゃなくて昨日も中国語のレッスンに行かなかったの?」と聞いてみる。
「そうだよ。今週末はずっとママの家にいたから、中国語のレッスンには全然行かなかったんだ」とアーロンは答えた。
そこからは、ビクトルの出番だった。
ビクトルは、アーロンとエクトルに週末何が起きたのかを聞いた。
子供らはまるで争うかのように、週末の出来事を話し始めた。
子供らの話を聞いて、とりあえずビクトルと私がしたこと。
絶句。だった。
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