梅子のスペイン暇つぶし劇場

毒を吐きますので、ご気分の優れない方はご来場をご遠慮ください。

ただいま。

約1カ月間の日本里帰り。

1カ月なんてあっという間に過ぎ去って、スペイン(現実の世界)に帰ってまいりました。

私にとって、この1年に1度の里帰りは、年末年始のような感覚です。

里帰りのために日々を過ごしているようなもので、里帰りから帰って来ると、さぁまた来年の夏まで頑張ろう!という気分になります。

こちらでは、学校も9月から新学年の新学期なので、そういう環境も相まっているのかもしれません。

 

日本に滞在している頃、東京はまだ梅雨の時期でしたが、蒸し暑かったのはほんの数日。

中盤は、実家(北国)に滞在していたこともあって、比較的過ごしやすい涼しさの中、束の間の日本を満喫することができました。

 

スペイン帰国と同時に、東京も梅雨が明け、その後の本格的な…というよりも尋常じゃない日本の暑さについては、Yahoo!ニュースで存じ上げており、心中お察しするばかりですが、こちらスペインも、オリンピックじゃあるまいし、お天気まで競い合わんでいい!というぐらい、灼熱地獄です。

スペイン帰国当初は、その暑さに体が追い付かず、日本で肥やしに肥やしてきた体重が、おかげさまで7kgも減りました。

“7kg”なんて言うと、とんでもなく痩せたような感覚ですが、日本に帰る前と日本滞在中に、毎日人生最高記録を更新していたようなものでしたので、“結局元に戻った”、実を言うとそんな状況です。

 

今月1日からは、子供たちも母親の家から我が家に戻って来ました。

帰国間近の頃だっか、帰国後だったか…は忘れましたが、前妻シュエからビクトルにメールが届きました。

メールの内容は、「長旅でお疲れでしょうから、よかったら私が子供たちを5日の金曜日まで預かりますよ?」というものでした。

なんでも、6日(土)からは旅行に出かけるので、5日までなら子供たちの面倒を見られるとのこと。

もちろん、ビクトルは即刻断りました。

シュエの単なる気まぐれの親切なのか、それとも、私たちへの親切と見せかけて、実は養育権の契約事項を無視してまでも彼女がそうしたいからなのか、はたまた、例えば新学期が始まる頃に、海外出張の予定が入っていて、“埋め合わせ”をするために今のうち5日間の“貯金”がほしいのか、その辺については、シュエは何も言っていないので、実際のところはわかりません。

でも、彼女のことです。

本当はこんなふうに、せっかくの親切を、怪しんだり疑ったりしたくないけれど、今までの経験上、彼女が私たちに親切なことをしてくれる時は、きっと裏に何かあると、思わざるを得ません。

悲しいことですが、それもこれも、今までにシュエがばら撒いてきた種の産物です。

これからもこうして、私たちは彼女の一挙手一投足に目を光らせ、まるで探偵のように、裏に隠された思惑や真実を読み取っていかなければならないのかと思うと、本当に気が重くなります。

つい先日までの日本里帰りが、もうすでに遠い過去のキラキラした思い出のように、恋しくなります。

 

ビクトルは、「1日に子供たちを迎えに行きます。」とだけ返事して、1日の朝、子供たちを引き取ってきました。

子供たちは、シュエが6日から旅行に出かけることを、まったく聞かされていなかったようで、ビクトルに言われて「え?そうなの?」と、驚いていました。

シュエが本当に旅行に出かけるのか、どこに行くのか、1人で出張なのか、夫マックスやフアンを連れての家族旅行なのか、私たちはまったく知りませんが、それはシュエ家族の問題。

ちなみに、後にエクトルが教えてくれたのですが、ビクトルがシュエの家に子供たちを引き取りに行く前日、シュエとマックスは再び大喧嘩をしたそうです。

そもそもの原因は、これまた溜め息しか出てこないような話なのですが、エクトルの、大人たちに対する日頃の態度が悪すぎると、マックスがシュエに文句を言い、それを承知のはずのシュエが、マックスに同調せず、エクトルを擁護したのがきっかけだったようです。

喧嘩は深夜まで続き、呆れたマックスは幼子フアンを連れて、またもや実家に帰ったそうで、ビクトルが子供たちを迎えに行った時、実はシュエの家にはマックスとフアンはいなかったとのこと。

やれやれ、そんな状況で旅行に行くとか言ってるの?

ま、誰とどこに行くかは知らないけれども、それもまた、シュエ家族の問題。

よろしくやっといてちょうだいってなもんです。

 

さてさて、そんな事情を経て、再び家族4人+猫1匹の、騒がしい日々が始まりました。

 

そうそう。

子供たちが帰って来て早々に、驚いたことがあります。

長男アーロンが、また少し背が伸びて、いよいよ私と肩を並べるほどになったこと。

次男エクトルもまた、少し背が伸びたようで、なんだかたくましくなって…、いや、エクトルの場合は、身長もさることながら、体重もだいーーーーーぶ増えたようで、腕や首は、赤ん坊か!ってほど、くびれができてムッチムチ。

腹周りに関しては、もうホントにガッカリです…。

お前は妊婦か?四十五十のビールっ腹のおっさんリーマンか?ってぐらい、そりゃもうガッカリするほど膨れて帰ってきました…。

 

そんなムッチムチのおっさんのような腹をしたエクトルが、帰って来るなり、私にこう言ったのです。

「あのねー。パパと梅子と別れて、ママの家に行った日、僕、大泣きしたんだよ。パパと梅子に会えない!って悲しくなって。」

え?エクトルが??

この太っちょめ!嬉しいこと言ってくれるじゃないの!

アーロンに「本当?」と聞くと、アーロンは「そうそう!エクトル大泣きしてさー。ウケた。ウケた。」と、笑って教えてくれました。

これには、私もビクトルも心底ビックリです。

我が家ではゲームもテレビも食べ物もすべて制限されて、エクトルにとっては単に厳しいだけの家。

母親の家の方が、いつでもゲームができるし、食べ物は何でもたらふく食べられるし、どこにでも連れて行ってもらえるパラダイスのような場所。

長男アーロンは、どちらかというとパパっ子なので、父親と離れ離れになることを嫌がるのはわかるのですが、ママっ子の次男エクトルは、間違いなく、私たち夫婦といるよりも、母親夫婦と一緒にいた方が楽しいと思っているに違いないと、ビクトルも私も当然のように思っていたのです。

 

日本旅行前の、子供たちの夏休みが始まった6月下旬、私たちは子供たちをどこへも連れて行ってやれませんでした。

「8月になったら行こうね。」とか、「8月になったらやろうね。」とか、ほとんどすべての楽しみを後回しにして、夏休みらしいことは、何一つしてやれなかった。

それでも、エクトルにとっては、私たち夫婦と過ごした日々がそんなに恋しくなるものだったのかと思うと、嬉しさはもちろんですが、とにかく驚きを隠せませんでした。

 

子供たちとの再会は、ある種、感動の再会でした。

が、それも束の間。

翌日からは早速、ビクトルか私の、子供たちに向けての檄が飛び交います。

 

朝起きて、着替えもせず、顔も洗わず、パジャマのままでキッチンに直行。

シリアルを貪り、食べ散らかしたダイニングテーブルを拭かずに、次はリビングに直行。

ソファにデローンと横になって、大音量でアニメに夢中。

 

ごるぁああああ!!!!

顔洗ってこーい!

服を着替えろー!

食べ終わったら、キッチンのテーブルは布巾で拭けぇー!

ソファにちゃんと座れぇー!

テレビの音がでかすぎーる!

ここはホテルじゃねぇんだ!

お前たちはお客じゃねぇ!

家族なんだ!

家族の一員として働けぇーい!

 

…というわけで、ただ今、我が家の子供たちは、毎日何かしらのお手伝いを任され、日々忙しく立ち振る舞っております。

 

それでもまだ、エクトルの体重は減らないんだなぁ。

どうしたもんじゃろの~ぅ。

 

あ、ちなみに、エクトルは我が家に帰って来てから、まだ1度も「ママの家が恋しい」とは泣いていません。

本人曰く、「パパと梅子と一緒だから、平気なの。」だそうです。

 

 

■本記事のタイトルは、映画「ただいま。」(2013年公開、日本)をモジることなくそのまんま使わせていただきました。
記事の内容と映画は、一切関係ありません。