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梅子のスペイン暇つぶし劇場

毒を吐きますので、ご気分の優れない方はご来場をご遠慮ください。

裁きは終りぬ ~追撃編~ 

【前妻のこと】 【前妻のこと】「裁きは終りぬ」シリーズ

※本シリーズは、現在進行形の出来事を提供しているため、飛び飛びに更新しておりますこと、何卒ご容赦ください。

尚、シリーズがだいぶ長くなってきた上に、しかも今後さらにこの話が続いていきそうな予感を感じ得ない出来事が最近起こりましたので、本シリーズのためにカテゴリーを新設することにしました。

前回までの記事につきましては、「【前妻のこと】「裁きは終りぬ」シリーズ」カテゴリーより、ご参照ください。

 

 

「海外出張を減らしたから。」と言う、前妻シュエの要望で、子供の養育に関する契約書を変更したにも関わらず、変更直後からまた以前のように、頻繁に海外出張をし始めたシュエの傍若無人ぶりに、呆れ果てたビクトルと私は、弁護士と共にbro-faxという法的な手紙をシュエに送り付けることで、彼女の尻を引っ叩くことにした。

bro-faxに込めた内容は3つ。

・最近、また海外出張生活に戻ったんじゃない?約束が違うんじゃない?というクレーム。

・出張するなとは言わない。だけど、せめて毎回出張の1週間前までに、会社からの書面と共にビクトルに報告してくれませんかね?という要求。

・出張中、誰が子供たちの世話をするか、アンタのご機嫌で決めるんじゃなく、まずは自身で解決案を見出してから、ビクトルに提案してほしい。その後ビクトルが決断しますよという要求。

回答期限は、bro-faxを受け取ってから5日間以内と、条件付き。

そして、期限最終日のとある水曜日、ついにシュエは弁護士に回答のメールをよこした。

その回答メールには、彼女の今までの海外出張の回数やら比率やら、今までどういうふうに不在時の埋め合わせをしてきたか…などを延々としたためた、壮大な資料が添付されていた。

また、その資料の最後には、自筆のサインと共に「今後も引き続き、契約書の内容を遵守します。」という宣言文が。

ビクトルと弁護士は、資料に矛盾があることを突き止めた。

宣言文については、ビクトルも弁護士も、当初、「契約書を遵守するって言ってるから、受け入れたってことだ。」と、一件落着の様相を見せていたが、私は1人、この宣言文に違和感を感じていた。

あれは、私たちの要求に対して「YES」とは言っていないのではないか。

ビクトルは早速弁護士に連絡し、シュエへの返事を考えることになった。

返事は、またしてもbro-faxを使うことにした。

 

 

シュエが、下の子フアンを連れて、海外出張に出掛けた。

その間に、弁護士は返事文のベースを作り、ビクトルが手直しをした。

 

弁護士が書いたベースの返事文は、お見事だった。

まずは、我々に返事をくれたことのお礼を丁寧に。

だけど、指摘したい箇所は鋭く。

そして、私が最も気にしていた、最後の宣言文については、どう問いただすのかと思っていたのだが、「あの宣言は、我々の要求を呑むということで、理解してかまいませんね?」という風な文だった。

柔らかくも鋭く、そして強引に核心を突く、といった印象を受けた。

きっと、私やビクトルが書いていたら、もっと皮肉を込めたりなんかして、おそらくシュエの神経を逆撫でするだけの文章になっていたかもしれない。

私は特に、せっかくのチャンスだ、思いっきり上げ足を取って、皮肉を込めて、屁理屈をこねて、シュエがこれを読む時にグーの音も出せず、ただギリギリと悔しさの歯ぎしりをするしかないようなことを言ってやれ!と思ってしまうが、でも、それじゃダメなのだ。

「シュエのゲームに取り込まれてはいけない。」と、弁護士だけでなく、甥っ子のエステバンにも同じようなことを言われる。

シュエの土俵に、一緒に立ってしまってはいけないのだ。

その点、弁護士が書いたベースの文章は、ただ淡々と、指摘したいこと、確認したいことのみを述べて、シュエの屁理屈に対する回答は一切なし。

そして、その、何の皮肉もこもっていない、ただただシンプルな文章が、シュエにとって一番強力なダメージになるような気がした。

私もビクトルも、弁護士の文章に満足した。

見ていなかったけれど、おそらくビクトルは今回、弁護士の文章をあまり手直ししなかったと思う。

 

さて、この、2回目のbro-faxだが、シュエの出張中に送ることにした。

本人は国内不在だが、夫のマックスが代理で受け取ることはできる。

マックスが封を開けて、代わりに読み、シュエに内容を伝えたとしても、シュエは一応出張勤務中なのだから、bro-faxどころではないだろう。

そして、出張から帰って来た頃には、彼女にとって、すでに過去の話。

bro-faxのことなんかどうでもよくなっているか、返事を返すのを忘れるかしてしまうだろうというのが、ビクトルの予想だ。

 

「スペインではね、一般的に、返事を返さないということは、つまり“OK”。“わかりました。同意します。”って意味に捉えるんだ。だから、シュエがいない時を狙って送るんだよ。」

これが、ビクトルの目的だった。

 

そうして、2回目のbro-faxが出撃した。

 

 

■本記事シリーズのタイトルは、映画「裁きは終りぬ」(1950年公開、フランス)をモジることなくそのまんま使わせていただきました。
本シリーズの内容と映画は、一切関係ありません。