梅子のスペイン暇つぶし劇場

毒を吐きますので、ご気分の優れない方はご来場をご遠慮ください。

あの日見た痛みを私はまだ忘れられない。

愛する夫ビクトルがいない2度目の春が過ぎ、たった1人で過ごす2度目の夏が来た。 お盆に合わせて、日本に行こうかと思ったけどやめた。 この前の年末年始に日本でもらってきた元気はまだ少し残っているし、それになんだか今年はじっくりどっぷりスペインでの…

I'm Yours 3

前回のお話は、コチラ。 himatsubushi-hitsumabushi.hatenablog.com アジア人の特権は、年齢よりも若く見られやすいということだ。 それから、この国にいてもう1つ嬉しいことは、皆大して年齢を気にしないということ。 ビクトルがいなくなってしまってから、…

I'm Yours 2

前回のお話は、コチラ。 himatsubushi-hitsumabushi.hatenablog.com 街コンに行くか行かないか… ビクトルのことやこれからの自分のことについて、史上最悪な絶望の中で大きな決断を次々に迫られていた去年に比べれば、街コンなんぞ、心の底からどうでもいい…

I'm Yours 1

そういえばしばらくここを見ていなかったな…と思ったら、前回の日記が3月で驚いた。 前回からもう3ヵ月もたったけど、自分の中では変わらぬ思いのまま日々を過ごしている気がする。 だけど、最近、友人のマリアやルイス、そしてフェルナンドからよく言われる…

Supermassive Black Hole

まだビクトルと出会う前。 東京での独身時代、私は洋楽ロックにハマっていた。 きっかけはもう何だか忘れてしまったが、2006年からその趣味が始まったのだけは、なぜか鮮明に覚えている。 同僚や友人に詳しい人がいて、「ニューアルバム、とうとう出たね!」…

ライフ・イズ・ビューティフル

「いいか、梅子。世界は君が思うよりもっともっと素敵なことで溢れている。君の人生は、これからいくらでも素晴らしくなるよ!」 ルイスは、電話の向こうでそう言った。 去年、夫ビクトルがいなくなってしまった後で、私はとあるスペイン人男性と友達になっ…

うつろいの季節(とき)

夫ビクトルが逝ってしまった忌まわしき3月が、とうとう来てしまった。 去年まで、3月は二度とスペインにはいたくないと思っていた。 この1ヵ月間は日本にでも逃げよう、ずっとそう考えていた。 だけど、年末年始に日本へ帰り、思いのほか元気をもらってスペ…

この世界に残されて

夫ビクトルの葬儀を終えて間もなくのとある日、ビクトルの税理士から電話が来て、「スペインでは、死亡日から6ヵ月以内に相続税を支払わなければならないから、それまでに遺産相続を済ませなければならない。遺産相続をするために、これからいろいろな手続き…

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

夫ビクトルと私は、夜21時を過ぎると、書斎でお互いのPCでそれぞれYoutubeを見たり、友達にメールを書いたり、私は時々このブログを書いたりと、そうやって夜を過ごすのが常だった。 たまに言葉を交わすが、そんな時は必ずどちらか話を聞く方が、見ていたYou…

今はきっと ここが帰る場所

近所のスーパーで、洗濯用の柔軟剤の棚を見ていたら、おじいさんが1人、カートを押してやってきた。 いくつも並ぶ柔軟剤のボトル。 当然スペイン語表記だから、1つ1つ読むのに時間がかかる。 「ウチではね、いつもこれを使ってるよ。妻といろいろ試してみた…

GO FOR IT

日本ではあまり知られていないと思うが(かくいう私は知らなかったのだが)、テレンス・ヒルとバッド・スペンサーという2人の映画俳優がいる。 1960年代から1970年代にかけてイタリアで作られた多くの西部劇映画(通称マカロニ・ウエスタン)で、2人のコンビ…

CRY MACHO

私の夫ビクトルは、自身の趣味を生かしていろんなことを企画したり挑戦する人だった。 読書好きが高じて、スペイン国内で購入可能な日本の書籍を紹介するFacebookページを立ち上げ、週に何度か紹介記事を投稿していた。 読書好きの友人たちと月一で我が家に…

地球最後の男 オメガマン

本記事のタイトルに使った「地球最後の男オメガマン」は、私の夫ビクトルがこよなく愛した映画俳優チャールトン・ヘストンが主演する、これまたビクトルがこよなく愛した映画である。 ビクトルが好きな映画や映画俳優は、ハリウッドに限らず日本を含めアジア…

梅子さんは学習をしない 3

前回までのお話は、コチラ。 木曜日。 今日もまた、エクトルが火曜日と同じ塾に行く日だった。 昨日謝って以降、私はエクトルにせめて最低限の言葉がけはしようと心がけた。 所詮、家族。 大喧嘩をして、たとえそれが皆納得のいくように解決しなくても、なん…

梅子さんは学習をしない 2

前回までのお話は、コチラ。 私はまだ怒りが収まっていなかった。 手がブルブル震えていた。 あぁ、やってもうた…という気持ちと、ここまで大暴れしちゃったんなら、いい機会だ、今までの鬱憤晴らしたれ!という気持ちが入り乱れていた。 でも、もう一方で冷…

梅子さんは学習をしない 1

やってしまった。 いつもぶち壊す、事を大きくして荒立ててしまうのは、私だ。 今までせっかく和気あいあいとやってきたのに。 ほのぼのとした、平和な日々だったのに。 今はもう、“反省”、この一言しかない。 でも、いくら反省しても、もう元には戻れない。…

メガネ男子!!

前記事「アイ・アム・ハポネサ!」でお話しした、謎のメガネ男子が出没する中国人若夫婦のバル。 あれから本当に、ビクトルと私はしばらくの間、そのバルを避けるように、別のカフェやバルを渡り歩いていた。 しばらく…と言っても、実際には1週間、いや2週間…

アイ・アム・ハポネサ!

※「ハポネサ」とはスペイン語で「日本人(女性)」という意味である。 (男性の場合は、「ハポネス」と言う。) イタリア在住のとある日本人の方のSNSで読んだのだが、イタリアの人々は、身なりが小奇麗なお洒落なアジア人は、中国人だと思うらしい。 昨今の…

エクトル、14歳

少し前、エクトルの誕生日だった。 誕生日当日は土曜日で、エクトルは我が家にはいなかったので、翌週月曜の夜に改めて3人でお祝いをした。 小学生の頃までのエクトルは、誕生日の週に入ると「今週は僕の誕生日週間だから、晩ご飯は毎日特別メニューにしてほ…

SAYONARA JAPAN

昔から、年初めや年度始めになると、ついついいろんなことの目標を立てたくなる。 それが継続するかしないかは別として。 今年は何事にもチャレンジできたらいいな。 漠然とこの年初めもそんな目標を立てたので、久しぶりに「今週のお題」にも挑戦だ。 でも…

再会の食卓

1月6日のReyes Magosの祝日を以って、今年も長いクリスマスが終わった。 前記事「新年は最高のはじまり」でお伝えしていたとおり、1月6日は、今や母親シュエの家で暮らす長男アーロンが我が家へ来て、Reyes Magosのお祝いをすることになっていた。 前日の5日…

新年は最高のはじまり

新年、明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 ―――――――――― 年末に、某占い師のYoutubeチャンネルで、2022年予想を見た。 五黄土星の寅年となる今年は、弱肉強食の爆発の年。 善悪に関係なく、溜め込んでいたものが内へ外へと放…

ビクトルの大予言…の答え合わせ

今年もクリスマスの季節がやってきた。 スペインのクリスマスは、12月24日のクリスマスイブを皮切りに、年が明けて1月6日の3賢者の日までと、長い。 日本では大晦日とお正月を重視するが、スペインの年越しは、クリスマスのビッグイベント中に、あらま年も明…

胃袋をつかめ!

今日は、ビクトルが夕方から友人たちと飲みに行った。 学校から帰って来たエクトルが昼寝をしている間に、ビクトルが出かけてしまったので、しばらく過ぎてようやく昼寝から起きたエクトルが、「あぁ、もうパパ出かけたんだね。」と言いながら、私の所へやっ…

ハウス・オブ・スペイン

スペインで暮らし始めて、当然、文化の違いや考え方の違いに驚いたこと、今でも驚くことはたくさんある。 住み始め当初、私はちょっとした“どちて坊や”(※アニメ「一休さん」に出てくる男の子)ならぬ、“ポルケ坊や”と化していた。 見るもの聞くものすべてが…

エクトルと自転車

先月ぐらいだったろうか。 ある日、エクトルがビクトルに言った。 「今年のクリスマスプレゼントは、自転車を買ってほしい。」と。 ダイエット目的で、今年の夏ぐらいからエクササイズに目覚めた我が家の次男エクトル。 今度は、友達と公園でサイクリングし…

息子の部屋

18歳の誕生日を迎え成人した、長男アーロンが9月から母親シュエと共に暮らすことになってから、2ヵ月がたった。 次男エクトルは引き続き毎週末をシュエの家で過ごしているから、時々エクトルにアーロンの様子を聞くのだが、聞くといつも「アーロンは相変わら…

限界つれづれ節

日曜日。 ビクトルも私も盛大な朝寝坊をした。 2人共とにかく怠惰全開。 お昼ご飯を作るのもなんだか億劫だし、そもそもまだお腹が減っていないしで、夕方近くまでそれぞれ好きなことをして過ごした。 日もだいぶ傾いてきた頃ようやく空腹になり始め、2人で…

ある雑貨店のはなし

スペインにも100円均一ショップのような、安くて何でも揃っている店がある。 日本でも今やお馴染みの、デンマーク発Flying Tigerは、私が住むこの街にもある。 また、おそらくまだ日本には進出していないかもしれないが、Tedi(テディ)というドイツ発の雑貨…

友情十字路

私は、ホラー映画はあまり得意ではないのだけど、怖い話を読んだり聞いたりするのは、子供の頃から好きだ。 子供時代は、夏休みの定番「あなたの知らない世界」はもちろんのこと、「世にも奇妙な物語」、「奇跡体験アンビリバボー」もほぼ欠かさず見ていたし…